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(相続3-7)相続人の姉がアメリカに住んでいる

 父が亡くなったので、遺産の分け方について姉妹で話し合いをしたいのですが、姉の1人がアメリカ人と結婚してアメリカ本土に住んでいます。遺産分割の話し合いを進めるときに、国内にいる他の姉と手続きが異なる点はありますか。

また、話し合いがつかないときにはどうすればいいですか。

 

A  まず、あなたのお姉さまが海外にいらしたとしても、被相続人の遺産分割については日本法(日本の民法)が適用されますので(通則法36条)、話し合いによって遺産分割の方法を決める(遺産分割協議をする)ためには、相続人全員の合意が必要です。つまり、海外にいるという理由だけで、お姉さまを遺産分割協議から除外するということはできません。

 

 そして、お姉さまも含めた相続人全員で遺産分割協議が整えば、遺産分割協議書を作成することとなりますが、遺産分割協議書には、相続人全員の署名・押印(実印による)、そして、印鑑証明書の添付が必要となります。
しかし、アメリカには印鑑証明書の制度がありませんので、お姉さまは印鑑証明書を添付することができません。

 

 ここで登場するのが、いわゆる「署名証明書(サイン証明書)」というものです。

 

 つまり、お姉さまには遺産分割協議書に署名をしてもらうことになるのですが、その署名が本人のものであることを証明する証明書が「署名証明書」です。その発行手続きは、日本領事館などの在外公館で行うことができます。

 

 この「署名証明書」が、印鑑証明書と同じような役割を果たすことになります。

 また、不動産の移転登記をする場合などには住民票が必要となりますが、その代わりとして「在留証明書」というものがあります。これも日本領事館に申請して取得することとなります。

 

 遺産分割協議がまとまらなければ遺産分割調停の申し立てを検討することとなりますが、調停の申立てをする場合の提出先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所となります。

 

 あなたのケースでは、国内にもお姉さまがいらっしゃるということですので、その方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てることになるかと思います。仮に、申立ての相手方がアメリカに住むお姉さまだけということになると、日本で調停を起こせない可能性が生じてきますので、注意が必要です。

 

 日本で遺産分割調停を申し立てたとしても、アメリカにいるお姉さまが調停期日に現実に出頭することは難しいでしょう。このような場合、お姉さまには代理人として弁護士をつけてもらうと手続きがスムーズにいくと思われます。

 

 他方で、お姉さまが代理人も選任せず、また、話し合いにも参加する見込みがないような場合には、弁護士等の専門家に相談されることを勧めます。

 

 このように、相続人が海外にいる場合の遺産分割については、注意すべき点が多くあります。

 くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。

 

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