Q 父が亡くなりました。父の相続人は、長男と次男、長女と私です。長男も次男も大学卒業後内地に行ってしまい、この20年間は盆と正月に帰ってくるくらいです。父は亡くなる5年程前から寝たきりで、私が父と同居して介護もしてきました。それでも、私は長男や次男と同じ分しか父の財産を相続できないのでしょうか?納得いきません。
A ご相談者さんによるお父様の介護を「寄与分」(民法904条の2第1項)として考慮し、お父様の遺産分割の際に長男や次男よりも、ご相談者さんが、より多くの遺産を相続する余地はあります。
ご相談者さんによるお父様の介護によって、お父様の財産から介護費用を支出することを免れたといえる場合など、ご相談者さんの介護が、お父様の財産の維持又は増加について特別の寄与と評価できる場合、お父様の遺産からその寄与分を控除したものをお父様の遺産とみなし、これを遺産分割の対象として共同相続人間で遺産分割の話合いをすることになります。そして、ご相談者さんの相続分は、寄与分を控除した遺産についての法定相続分に寄与分を加えたものとなります。
具体的に寄与分を考慮した遺産分割をするにあたり、ご相談者さんの介護を財産的に評価する必要があるのですが、その方法の一つとして、1日あたりの介護報酬相当額を算定し、これに介護日数をかけたうえで裁量割合にて調整された金額により算出される方法があります。介護報酬相当額の算定にあたり、介護保険制度の介護報酬基準に基づく療養看護報酬額(日当)を用いることが多いです。
また、同居して介護していた場合、ご相談者さんが住居費の支出を免れているなどの事情があれば、そういった事情は寄与分を減額する事情として考慮することとなります。ただしこれも同居にいたる経緯などにより異なる取り扱いがされる場合もあります。
特別の寄与といえるかどうか、特別の寄与を財産的にどのように評価するかは具体的な事例に応じて検討する必要がありますので、詳しく知りたい場合、沖縄弁護士会にご相談ください。