Q 3か月ほど前に母が亡くなりました。父は10年前に亡くなっているので、母の相続人は兄、姉、私の3名です。遺言書はありません。母の遺産は母と私が暮らしていた家とその敷地、1000万円の預貯金です。現在、その母の遺産をどのように分けるのかを兄、姉と話し合っているのですが、兄、姉と意見があわず、困っています。兄と姉は、法律で決められているとおり、相続人3名で平等に分けようと言っています。しかし、私は、長年にわたって母の介護をしてきたので、母の介護をほとんどしなかった兄や姉と平等というのは納得いきません。母の介護を続けてきた私は、兄や姉よりも多く母の遺産をもらうことはできないのでしょうか。
A 民法900条4号に、「子・・・が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」と定められているように、相続人となる子が数人いるときは、子の法定相続分は平等です。しかし、それだけだと被相続人のために頑張ってきた相続人が報われないことになりかねません。
そこで、民法は、被相続人の遺産の増加に特別に貢献したり、遺産の減少を防ぐのに特別に貢献したりした相続人については、その貢献を財産として評価し、相続の場面で考慮することで、他の相続人との不公平を解消しようとしました。それが寄与分という制度(民法904条の2)です。
あなたの場合、長年にわたってお母さんの介護をしてきたということなので、寄与分が認められることになれば、お母さんの遺産を相続するにあたり、お兄さんやお姉さんよりも多くお母さんの遺産をもらうことができるでしょう。
ただ、どの程度の貢献をしたら寄与分が認められるのか、寄与分が認められるとしてその財産的評価がいくらになるのかについては、明確な基準はなく、共同相続人の協議や家庭裁判所による審判で決まります。
他方で、あなたが同居して介護していた場合、ご相談者さんが住居費の支出を免れているなどの事情があれば、そういった事情は寄与分を減額する事情として考慮することとなります。ただしこれも同居にいたる経緯などにより異なる取り扱いがされる場合もあります。
そうなので、共同相続人の協議や家庭裁判所による審判の際に、どのような事実を強調したらよいのか、どのような証拠を集めたらよいのかなどを考えておく必要があります。
お兄さんとお姉さんが、お母さんの介護を続けてきたあなたの努力を考慮せず遺産を平等に分けることにこだわるのであれば、一度、沖縄弁護士会に相談してみてください。