Q 3か月ほど前に父が亡くなりました。母は2年前に亡くなっているので、父の相続人は兄、私の2名です。父の遺産は3000万円の預貯金です。現在、その父の遺産をどのように分けるのかを兄と話し合っているのですが、兄と意見があわず、困っています。兄は、法律で決められているとおり、相続人2名で平等に分けようと言っています。しかし、父が生きている頃、兄は父から実家の建物と土地をもらっています。私は、父から何ももらっていないので、すでに父から財産をもらっている兄と平等というのは納得いきません。父から何ももらっていない私は、兄よりも多く父の遺産をもらうことはできないのでしょうか。
A 民法900条4号には、「子・・・が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」と定められているようにとして、相続人となる子が数人いるときは、子の法定相続分は平等ですと定めています。
しかし、それだけだとでは、被相続人が生前一部の相続人にのみ財産を譲っていた場合には、それ以外の相続人との間で不公平が生じます。そこで、民法は、相続人間の公平を図るため、被相続人から生前贈与や遺贈を受けた相続人がいる場合には、各相続人の相続分を計算する際に、一部の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈を受けていることを考慮することにしました。このような制度を特別受益制度(民法903条)といいます。
特別受益が認められる場合には、被相続人が死亡時にもっていた財産に、すでに一部の相続人に贈与していた財産をあわせて相続財産と考えて、各相続人の相続分を計算することになります。
ご質問のケースだと、あなたのお父さんがお兄さんに贈与した実家の建物と土地が特別受益にあたる場合には、あなたのお父さんが死亡時にもっていた3000万円の預貯金とお兄さんに贈与した実家の建物と土地が相続財産になるものとして評価されます。そして、この相続財産の価額にお兄さんとあなたの法定相続分(2分の1)を掛け、その価額から、生前贈与された実家の建物と土地の価額を差し引いて、お兄さんとあなたの具体的な相続額を決めることになります。
例えば、お兄さんに生前贈与された実家の建物と土地の価額が1000万円だったとすると、お父さんの相続財産の価額は預貯金(3000万円)と実家の建物と土地(1000万円)となります。そして、あなたの具体的な相続分は2000万円((3000万円+1000万円)×1/2=2000万円)、お兄さんの具体的な相続分は1000万円((3000万円+1000万円)×1/2-1000万円=1000万円)となります。
このように、あなたのお父さんがお兄さんに贈与した実家の建物と土地が特別受益にあたるのであれば、お父さんが死亡時にもっていた3000万円については、あなたが2000万円、お兄さんが1000万円もらうことになるでしょう。
ただもっとも、あなたのお父さんがお兄さんに贈与した実家の建物と土地が特別受益にあたるのか、特別受益にあたるとしても財産的価値をいくらと評価するのかなどは、詳しい事情が分からないと判断が難しいです。具体的な事情を踏まえた専門的・法的な判断が必要な場合もあります。
また、あなたのお父さんがお兄さんに実家の建物と土地を贈与した理由次第では、お兄さんに贈与した実家の建物と土地を相続財産に含めないで、お兄さんとあなたの具体的な相続額を計算することになる可能性もあります(「持ち戻しの免除」といいます。)。
特別受益のことで悩んでいるなら、一度、沖縄弁護士会に相談してみてください。