Q 父が亡くなり兄弟で遺産分割の話し合いをしています。長男が住んでいる家は未登記です。父は生前、長男の住む家は父がお金を出して建てたと言っていました。父がお金を出して建てた家であれば、遺産に含まれるはずですが、長男は自分がお金を出して建てた家だと言って遺産には含まれないと主張しています。このように遺産かどうか争いがあるときはどのように決着をつけるのですか?
A 遺産分割は亡くなった被相続人の財産を相続人間で分配する手続ですので、被相続人の財産でないものは遺産分割の対象となりません。相続人間で遺産に含める・含めないとの協議が整えば問題ありませんが、双方が譲らない場合は問題となります。
この場合は、遺産分割をする前提として、遺産に含まれるか否かについて地方裁判所の民事裁判手続(「遺産確認訴訟」)で決着をつける必要があります。家庭裁判所の調停や審判で決めてくれるわけではありませんから注意が必要です。
遺産分割の調停を申し立てる前、あるいは調停途中に、別途遺産確認の民事裁判を提起する必要があります。民事裁判では、裁判所が、その財産を取得した経緯、取得に要した費用の負担を誰がしたのか、利用状況、経費(固定資産税など)の負担、当事者・第三者の認識などを元に、誰の財産かを判断することになります。
民事裁判では、きちんと法律的な主張をしたり、裏付けとなる証拠を出したりする必要があります。裁判をするかどうかも含めて、一度弁護士に相談するのが良いでしょう。