Q 相続というのはいつ始まるのでしょうか。また、いつまでに遺産を分けなければならないという期限はあるのでしょうか。
A 相続がいつ始まるかは,民法という法律で決まっています。
すなわち、相続は人が亡くなった時点で発生することになっていて(民法第882条)、人が亡くなると,その時点で,亡くなった方(被相続人といいます。)の財産(遺産)は相続人全員で共同所有することになります(共有するといいます。)。
相続人全員で共有することになった遺産を分ける手続きを遺産分割といいます。遺産分割手続では、被相続人の財産を相続人全員で具体的に配分していきます。
例えば、亡くなったお父さんの持っていた土地は相続人全員の共有になりますが、これを誰か決まった人だけのものにするには、遺産分割をしなければならないのです。
遺産分割協議をいつまでにしなければならないという時期の制限はありませんが、令和5年4月1日施行の改正民法により、相続開始後10年を超えた特別受益や寄与分は主張できなくなります(特別受益については2-4、寄与分については2-5・2-6・3-6をご参照ください。)。特別受益や寄与分を主張したい場合には、原則として相続開始後10年以内に遺産分割協議を終わらせるか、家庭裁判所に遺産の分割の請求をする必要があります。また、所有者不明土地の増加が問題となっていることへの対策として、不動産登記法が改正され、令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
これにより、
①相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
②遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
*正当な理由なくこれらの義務に違反した場合は10万円以下の過料の適用対象となります。
それ以外にも、相続税の申告や相続税の特例(例えば、配偶者の税額軽減など)には申告期限が設定されていますし、現実問題として、遺産分割をせずに放置していると、遺産を相続した人もさらに亡くなって相続人が多数になったり、事実関係が分からなくなってしまうなどして遺産分割が非常に困難になることもありますので、注意が必要です。
くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。