
Q 先月(令和6年10月)、母が亡くなりました。父は10年前に他界しており、母の相続人は私、私の兄、私の弟の3名になります。母は、預貯金、実家(土地建物)、軍用地、貸駐車場、山林を残して亡くなりましたが、遺言を作成していなかったので、現在、兄弟3名で遺産分割協議をしています。協議の結果、預貯金と実家を兄が、軍用地を私が、貸駐車場を弟がそれぞれ取得し、遠方で管理が大変な山林については遺産分割の対象から外すことで話がまとまりそうです。ところが、昨日、弟から電話があり「山林についても相続登記をしないといけないのではないか。」と言われました。誰も取得することを望まない山林についても、相続登記をしないといけないのでしょうか。
A 令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません(不動産登記法第76条の2第1項)。
相続は、死亡によって開始します(民法882条)。本件のように遺言がない場合、相続人は相続開始時から法定相続分に応じて被相続人の権利義務を承継しますので(民法896条本文、同法899条)、誰も取得することを望まない山林の所有権についても、被相続人(お母様)が亡くなられた時から兄弟3名で持ち分1/3ずつの割合で承継していることになります。したがいまして、弟様のおっしゃるとおり、山林についても、兄弟3名の皆様がお母様が亡くなり、遺産の中に当該山林があることを知った時点から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
また、今回遺産分割により取得される他の不動産については、遺産分割成立日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません(不動産登記法第76条の2第2項、同法第76条の3第4項等)。
更に、10年前に亡くなられたお父様の遺産の中に相続登記未了の不動産はございませんでしょうか。令和6年4月1日より前に発生した不動産相続についても、①令和6年4月1日、または、②当該不動産の相続を知った日のうち、いずれか遅い日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません(民法等の一部を改正する法律(令和4年法律第24号)附則第5条第6項)。
以上について、正当な理由がないにもかかわらず期限までに登記申請を怠った場合、10万円以下の過料の適用対象となってしまいますので、ご注意下さい(不動産登記法第164条第1項)。
くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。