Q 昨年、父が亡くなりました。遺産は、父が3年前に購入した店舗兼自宅(時価2000万円)だけです。相続人は私(長男)と弟(次男)と妹(長女)ですが、その店舗兼自宅には誰も住まないので、これを売って代金を3人の兄弟で分けるつもりです。私は、給料をほぼもらわずに20年間にわたって父の店舗を手伝ってきました。父が店舗兼自宅を買えたのも私の働きがあったからだと思いますが、この点は遺産分割するにあたって、何も考慮されないのでしょうか。
A 質問者の方はお父様の店舗を20年間に渡って手伝ってきたとのことですが、これがお父様の財産の維持や増加について特別の寄与があると認められる場合は、その分を加えた分が質問者の相続分となります。これを「寄与分」といいます。
それでは、この寄与分は、どのように決められるのでしょうか。
寄与分は、まずは相続人全員の協議により決めることができます。ただし、相続人全員の合意が得られない場合もあるでしょう。
この場合は、家庭裁判所に、寄与分を定めるための調停を申し立てることにより、調停の手続にて話し合って合意を目指すことができます。
調停でも決まらなければ、審判の手続に移行し、最終的には裁判官が審判をして結論を出すことになります。
質問者が20年間手伝ってきたことが寄与分と認められるか、寄与分として認められたとしていくらと評価されるかは、様々な事情を考慮して決められることになります。ただし、寄与分は、親族間において通常期待される範囲を超えた仕事をした必要があり、簡単な手伝いではなくかなりの負担があったものでなければならないなど、簡単には認められないことには注意が必要です。そして、最終的には、これらを証拠によって証明する必要があります。
それでは、もし質問者の方の寄与分500万円と決まったとして、ご相談のケースで実際の各自の取り分を計算してみます。
まず、相続財産の総額から、質問者の寄与分である500万円を差し引きます。
2000万円-500万円=1500万円
次に、これを兄弟姉妹3人で平等に分けます。
1500万円×1/3=500万円
これが各相続人の取り分です。
そして、質問者は500万円分寄与していますから、これを戻します。
500万円+500万円=1000万円
これが質問者の取り分となります。
ですので、店舗兼住宅の売却代金2000万円のうち、質問者は1000万円、残りの2人の兄弟姉妹はそれぞれ500万円ずつもらうことになります。
このように、寄与分については専門的な知識や経験が欠かせません。
くわしいことは沖縄弁護士会の弁護士にご相談ください。