Q 先日、父が亡くなったため、遺産をどう分けるのかについて家族会議(遺産分割協議)をしたのですが、話がまとまりませんでした。インターネットで調べたところ、家庭裁判所で家事調停の申立てができると書いてあったのですが、家事調停って何ですか?
A 家事調停とは、相続や離婚、親権といった家族の問題を、家庭裁判所で中立公正な調停委員会が間に入り、話し合いによって解決するというものです。遺産分割の問題を調停で解決しようと考えているのであれば、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになります。
調停では、裁判官と調停委員で構成される調停委員会が、中立公正な立場であなたや他の相続人から、それぞれの言い分を聞いて調整しようとしたり、時には当事者に対し具体的な解決案(調停案)を提示するなどして、問題の解決に協力してくれます。
家庭裁判所の調停委員会に協力してもらいながら、お互いの意見をすり合わせ、みんなが納得する分割方法を探して、話し合いを重ねていきます。
その結果、みんなが納得する分割方法が見つかり、裁判所としてもその内容通りに遺産を分割させて良いと判断した場合には調停成立となり、調停調書という文書が作られます。
調停調書には、相続人間で合意した内容が記載され、これに従って遺産分割をすることが法的に強制されます。
他方、話し合いを重ねても、お互いの主張の妥協点を見いだせず、合意に至らないことも考えられます。こういう場合、家庭裁判所が話し合いを続けても問題を解決するのが難しいと判断すると、遺産分割調停から遺産分割審判に移ることになります。
遺産分割審判では、相続人が提出した証拠等に基づいて、裁判所が遺産分割の方法を決定します。相続人は裁判所の判断に従って、遺産分割をすることになります。
調停の申立て方法については、書面で行うのが通常です。申立てには戸籍謄本や遺産目録等が必要となります。また、申立書の提出先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定めた家庭裁判所になります。
調停は、公開されない調停室で行われます。相手方と直接顔を合わせたくないときは、そのように配慮してもらうこともできます。
要するに調停とは家庭裁判所で話し合いによって解決を目指すことですから、そこでは、あなたの主張を整理し、それを調停委員会や相手方に的確に伝える必要があります。また、相手方の主張を正確に理解し、それに対する適切な対応をする必要があります。さらに、調停の申立てにおいては様々な必要書類を準備しなくてはなりません。
あなたの主張をまとめたり、申立ての準備をご自分で行うのはとても大変です。遺産分割に関して困ったことがあったら、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。